転生/yo-yo
 

だれか森の奥で
山桃の実を食べている
指のさきから尻尾のさきまで
赤く染まり
鳥のように生きている
魚のように生きている

ひと粒はひと粒のために
いっぴきはいっぴきのために
熱い唇から唇へ
乳房から乳房へ
ときには地上から地上へ

うち震える葉脈の川に
嵐はあるかしら
飢えはあるかしら
やわらかい果実の子宮に
地球の種は宿っているかしら

もういちど
生まれかわる夜は
だれかとだれか
赤い目をした生きものになる
周回する森の星座になる

そして落ちる




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