突発即興詩会第2ラウンドログ(10/07/2006)/遊羽
片走査線上
打ち拉がれる色彩と意味
傷つかぬように… 傷つけぬように
されど追っ手は風のように去り
無数のかすり傷から色のない血が流れる
「旧型列車」(原口昇平)
車内。東京へ来てから窓を開けたことがない。はめごろしになっているから。
外からの風を受け入れず、なかから誰も出られないように。
ぼくはいつから入っていたのだろう、白い服のひとにいくら説明しても出してもらえなかった日々のなかへ。ただ目の前に並べられたつぶつぶを飲みつづけて、盲いたままで。いま、ここしか、なかった。もどることもなく、すすむこともない。
しばられた手。
窓の外を流れる街ばかりを見つめていた。
扉がひらいた。降りた。ひとにまぎれていく、ぼくにはない風景へとつづく窓をあけようとして。
あこがれ、古いかたちへの。
いつ出てきたのだろう、白い教室から。ゆるされて。けれど扉をあけて帰っていくぼくの三畳半には、窓さえないままで。
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