レレレのレッ!/佐々宝砂
 
私はら抜き言葉がとても嫌いだった。「ら抜きの殺意」を抱きかねないほど嫌いだった。しかし最近はだいぶ慣れて、ら抜き言葉にでくわしてもなんとか耐えられるようになってきた。耐えなきゃいけないなあと思ったからである。

「耐えなきゃいけない」と思った理由のひとつは、ら抜き言葉が方言である可能性だ。私が住んでいるのは静岡県遠州地方なのだが、東海地方から北は昔から方言としてら抜き言葉を使ってきたという説があり、言われてみれば、遠州弁のじいさまばあさまもら抜き言葉をネイティヴに使っているような気がしないでもない。あんまり確証はないけど、方言かもしれないなら、ら抜き言葉を差別してはいけない。方言を嫌ってはいけ
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