ある気功術師の悲劇〜この気なんの気気になる気〜/千波 一也
 
豊かなくにの人々は選り好みをする
もともとは貧しかったものだから
それを遠い昔に捨てるため
それとともに
薄れてしまったものが在ることを気付きもせず
豊かなくにの人々は



ある気功術師は語る

気を送る、と綴れば
いかにも特殊なちからのようだが
贈ると綴れば
それほど特殊なちからでもないだろう

こんにちは
ありがとう
ごめんなさい

はじめまして
おげんきですか
どうぞよろしく

誰かに贈るその言葉の裏側に
少なからず
見返りをもとめてしまうことは
とても健全なこころではなかったろうか
縛られ過ぎてしまわぬ限り
それは健全なこころでは
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