【短歌祭参加作品】愛のない慈悲なんていらねえよ、夏/たたたろろろろ
 

「海まではあと2時間はかかるからスイッチをぜんぶOFFにしとくの」


扇風機だせば宇宙人がやってくる黒いかみのけ黄色いはだの

温泉は自宅の風呂とは違うからはだかの歌は真夏の空へ

蝶の瞳(め)で線香花火を見ていなよ上や下から、真横からでも


知恵の輪が外れたような音がして金魚すくいの出店が燃える



「もう少し動かせばどう?ばかみたく蚊取り線香に酔っていないで」


夕立に洗われながら蛇を見る 愛するように恐れるように


風鈴の前でかたぐるまをすれば浴衣の少女は風をあやつる


「コンドームあれで満たしてめいっぱい。川ですいかを冷や
[次のページ]
戻る   Point(8)