現実/奥津 強
 
私が 私ではないという 現実
およそ
多くの人々が 無関心であるという
残酷なる
季節の めぐりは
私が 自己を 否定する事から
始まる

私が 首を くくった 数年間
邪宗の 坊主が いつも 鐘を
打ち鳴らし
邪天 邪鬼 稲荷 蛇神 
法門に 照らされた
神々の なれの果て
恐らく
私を 私でなくしたのだろう

短夜の 女と 共に
私は 青葉汁を すする

「浮気者、浮気者、浮気者」
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