平凡な宝物/穂-sui-
 
焦げた胡椒が口の中ではじける
味が悲鳴にならなければいい

僕は想像するよ

ひび割れた指先
産毛を撫でるハサミ
頭頂部が気になる父親

その全てが 君の物になることを

君の中の少年が
その平凡な宝物を僕に積んで
限りある海を進んでいく

そんな幸せが航海を終える頃には
このミートローフが懐かしくなるさ

そう これもきっと僕の平凡な宝物
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