森の断章??デッサン/前田ふむふむ
 
辺に
ふかく積もりつづける。

放射する日差しは、
あなたの微笑をゆっくりと溶かしながら、
思わず込み上げた、溢れる声は、
短くこだまを響かせて、
無防備に佇む恋人のしぐさのなかに、
流れ落ちている。
濡れたくちびるを恋人のこころにあてて、
あなたは、森の息吹の階段を、
しずかに昇りつめてゆく。

仄かな恋人の言葉が、あなたの若い芽を、
まどろんだ湿地にいざなって――
比喩の森の断章が、
あなたの二十歳の淡い視界のなかで
軟らかく立ち上がる。

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