森の断章??デッサン/前田ふむふむ
ひかりをふところに浸す、
みどりのまるみが、いのちの数式を
一面につめこんだ、
萌え上がる、眠れる森に、鬱蒼と、
うすきみどりを染め上げて。
満たされた隙間を、みずいろの風が、繰り返し、
芳しい音を上げて、たちのぼる。
あなたは、亜麻色の髪を、
白い手でたくしあげて、
流れる時間のほころびに、
凛としたほおを添えてみる。
追いかける空の群青に走るおもいは、
鮮烈な波をおこして、激しく揺れ動き、
あなたは、瞳のなかで、きよらかに高められて、
恋人との白昼の鼓動を、熱く爪弾いてゆく。
滴る森のみずいろと交わる、あなたの吐息。
目覚めた昂揚が、小さな胸の底辺に
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