酔煙歌/松本 卓也
 
二杯目のチューハイをちびちびと呑みながら
深々と溜息を吐くと首元から汗が吹き出てくる
肝臓や肺の当たりに不自然なしこりを感じても
結局は逃げ道を選んだ結果でしかないのだから

浴びるほど呑もうが少しずつ呑もうが
いずれは緩慢な眠りの中で
叶わなかった夢の残骸を拾い集め
こんな人生じゃなかったはずだと
無意味な自己否定を繰り返すばかり

二十七年と半分の時間が経ったとしても
やっている事は十代の時と代わっていない
ただあの時は何もなかったけれど
今は酒と煙草に心を委ねる夜を過ごしている

幼い頃はまだ手に入らないものばかりだった
今はもう手に入らないものばかりになっ
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