暗い粘り/atsuchan69
 
彷徨う路上生活者たち、彼処の焚き火
暴動、鎮圧、そして夥しい凍死者、屍を踏み、足早にすぎる
雌豹、芳しい香りを残し 雪に覆われた世界が 叫びを消し
美しさだけが燦然とかがやく 白い街 その地下深くに染み
もはや逃げ場のない 困難ともいうべき状況を、誰もが悟り
見上げるのは、暗い粘り 塊りの塔、凍りつき動きもしない
が、その時、先端から真下へ亀裂が生じ、突然、ブルブルと
個体を揺さぶると、見よ、暗い粘りが暖かなひかりを 灯し
表皮をやぶり、現れたのは、樹! 大地を震わす緑と 繁み
大いなる巨木、その枝葉に 万物が宿る 訪れる小鳥たちよ
自由を歌え、子等よ 思う存分落書きをせよ、アイスを拾え
夏が突然やって来たのだ、我侭な女のように突拍子もなく!
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