うろこ/霜天
ょうか
深海のようなこの街に
運ばれる誰かの深呼吸は
僕らに気付いてもらえるでしょうか
こうして
なりそこないの夢を
語り合わせた後で
ほんの少しつまんでみると
誰にもなれなかったうろこが
からん、からんと落ちていくのです
みんなが、みんな別れていくのです
待ち侘びながら覚えた
色付く涙のことですから
明日の朝にはうろこになって
守ってくれるはずですから
事故の、夜でした
二人はうなだれる窓辺に
ねじれた時計に、時間は確かに追いついてきました
祈る言葉はどれほどあるでしょう
そこにある出口に何を見ましたか
事故でしょうか
誰も知らないのでしょうか
ソーダ水が静かに弾けていくような
ほんの夜でした
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