獅子の眠る夜/蛙の子
えてやった。
安心なんていらないから 何度も噛み付いてやった。
けれども君は、私にビクともせず 噛み付かれて血だらけになっても
私に近付いて来てくれた。
どうして?
どうして、私に近付くの?
何を聞いても君は何も答えない。
ただただ笑顔で傍にいる。
ただただ私を抱きしめて
「ずっと一緒。」
頬を伝う涙に気付く。
たった一言の言葉と
たった一人の暖かさで
私の意地とプライドは
簡単に 音も無く 崩れ落ちた。
もう 私を捉えるものは何もない。
今夜は君がいるから大丈夫。
今夜は 私が眠れる夜。
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