バグ・マシーン/山本 聖
腹の発光体をわたしたちの魂の体液が満たすころ
またひとつ、空に雨雲が
怒りに震えるような雷がやってくる
ひからびた老木と化した哀しき人々、すなわちわたしたちは
その稲妻を待ちわび
身を引き裂けよ、と叫ぶ
身を引き裂けよ!
そして鞭打つような閃光に打ち砕かれたとき
まっぷたつになったわたしたちの身体から
また新たな虫たちが幾万と、飛びたってゆく
嵐のバグ・マシーン
空一面に黒雲と雷鳴、それにひしめきあう虫の大群
吸い尽くせ
嵐が去るまでに
この世は虫でできている
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