みず ひかる みず/木立 悟
光は軽く
光に痛く
窓のそば
胸かきむしる
ひとつの羽が
生まれるとき
手のひらの水から
こぼれる黒
髪はあふれ
黒へ落ちる
夜にあふれ
眼(まなこ)へ落ちる
動かぬものの影がまわり
やがてぐるりと元へもどる
空に立つもの
はじくもの
夜より暗く
はじくもの
水が水を
いつくしむかたち
互いに触れては
離れるかたち
めぐる水 めぐる
映る羽 めぐる
空より大きなものがあり
朝と夜のはざまに倒れる
咲いては枯れる花に覆われ
にじみひろがる朝の陽を背に
さだめなきかたちにかがやきながら
やがてくる緑をうたいつづける
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