泰山木と喪服/知風
 
その昔も昔には

あの白く大きな花の

ほっこりと黄色い花芯(かしん)には

ひとつにひとりの乙女が生まれ

若者たちはその花乙女らを嫁にせんと

競って夏藤(なつふじ)のつるをよじのぼったものだ

わしとてそうしてばぁさんをめとったのだと

あの可哀想な嘘つきじじぃがふかしておったわ

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