季節を流れる/音阿弥花三郎
 
押し寄せる声に
紺青の声に
おののく 震える海をおびやかす
流れがある
言うまでもない流れへ
流れてゆく ゆったりとしたパジャマ
の少女
を見送るのは僕だ
僕にはその責任があるから
心という壺があるなら
あふれ出るのはヤスデやダンゴ虫だ

げっ歯類の背にまたがって
少女はやって来るのだ 彼女の
靴下は?
靴下はどうしたのだ?
天井に揺れるのは
幾本もの長すぎる
足だ 
その一本を選んで
激しく引き抜く
僕の行為を裁くのは 少女だ

私は流れる
少女の指の間を
季節外れの入道雲を
抱かせる
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