*ミルクティ*/かおる
 

頭の上からすっぽり
オブラードを冠ったような
曇りの日ばかりで
じっとりとした湿気に包まれていると
鬱屈ばかりが沈殿していく
そんな夜はお気に入りのマグカップに
とっておきのアッサムを入れる
ポットとあたしに銀のお匙2杯の茶葉
ケトルをピーピーやかましく湧かし
煮えたぎったお湯を入れる
ダンシング茶葉を見つめていると
空はとうとう泣き出して
銀色の針を蒔き散らしたよう
身じろぎもできぬ夜の底に
追いつめられたあたしは
たっぷりのミルクを入れ
琥珀色を鈍色にぼかすと
錆びた気持ちも緩んでいく
ほろ苦い渋みを舌で転がし
全てを飲み干してみせるの

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