腐海/実夜
 
霞み行く

爪先に

躓く

恐れを

薄れさせ

遠い先を

見据え行く



手をのべて 蜘蛛つかまんとて 背伸びをし
雪花糸(きらいと)に触れ 乾涸びてゆく

眼も虚ろ 身内に伽藍を 抱えつつ
歩を止めぬは 誰が為ぞ

横たへし 吾が身に焔 放たれり
消炭なるも 魂(たま)は残らん



心して 

吾が眼(まな)見つめよ

さもなくば

妾(われ)と堕ちん

暗き海底


戻る   Point(0)