アンタレス/下門鮎子
どこまでいっても青い大地。砂漠だと思った
ら海だった。ぼくの生まれた場所では、砂漠
は青く光っていたから。夜が砂漠に寝そべっ
ている。ぼくもいっしょに寝そべった。
海とはいっしょに寝そべれない。海は音楽を
聴かせてくれる。砂漠で聴いたような、初め
て聴いたような、不思議な声。ぼくはじっと
座ってサソリ座をながめていたはずなのに、
いつのまにかサソリ座は見えなくなっていた
。
目を覚ますと月が出たばかりで、ぼくの座っ
ていたのは砂漠。またぼくは夢を見たのか。
あこがれの海の夢を。
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