ホタルブクロ/たりぽん(大理 奔)
 

水面のやさしさを信じ
身を投げる木の実の
沈んでいく運命の先を
知らないかのように
綺麗な音色だと
美邪気に笑う君に
かなしくなる

西の雲は入り日に
焼かれるからかわいそうと君は
今日という日の終わりの色を
ため息にかえるから
私は私の野生に
名前を付ける

夜半に降りしきる雨も
二人の熱で相変化する
ほんのわずかな汗や涙
で、あるのなら

胸をしめつける窮屈な闇
月に照らされる
蒼い斜面のかたすみに
ひそかに風に揺れながら
いちりんの
ほたるぶくろが
花開く

ああ、それはただ
ただ、やさしいだけなのだ



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