雪だるま/虹波
 
がら
悠然として
勇ましくなった
僕の友達

寒い中堂々と
僕の庭で命をもらって輝いている
今度は僕が
雪だるまを味わう番だった

だからずっとじっとしていた
なんだか後ろ手に母が意味もなく怒っているけれど
気にする理由は全くなかった
だって僕も
動かない雪だるまなのだから



どれくらい時間が経っただろう
不意にベランダの戸が開く音がして
振り向くと
呆れかえった母が立っていた
もう怒ってはいなかった
僕は素直に中へ入っていった
こたつにくるまった
しもやけになりそうになった足が感覚を呼び戻していく
僕という雪だるまは溶けていった



母は僕の話をする時
決まってこの話を出し
僕という人間がいかに頑固で意地っ張りかを説明する

話し終えた時の母の顔は何故かいつもほころんでいた


僕は
雪だるまと遊んだことしか
思い出せなかった

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