草の上、翼の下/
吉岡孝次
一体どこにいたのかと
なぜ自分が見えるのかと
だから記憶には創られたものがある
虫も緑も陰る飛行場の近くに
住まったことはない
白シャツを着たことはあっても
レフを当てられたことはなかった
ゆえに少しばかり絵になるくらいのことで
そんな自主制作くさいコンテに
こだわるな
なかったことだ
それよりは一字一字が画然とした
詩を
夏空へと目を上げた
少年の身の置場のなさへ
消しても消しても爆音なき
自由へ
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