蛆湧く季節。/実夜
 
腐り融けたレタスのように

鬱血した空気は

身に纏わりついて

無理矢理くちびるを

押し開けて侵入し

息を詰らせた。


肌の上に

じっとりと停滞する空気に

蛞蝓を思い出して

ナイフを

取り出し

腕の古傷に沿って

滑らせた。


全部

どうでもよくて

夏の海に

沈む計画を

立てている。


本当に

大事な物など

ありはしない。
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