ミルクの匂い ☆/atsuchan69
うら若き
母の乳房が、
贅沢にも
ふたつあった
乳飲み子は
疑わず、
ただ ひたすら
顔を埋めて
果てのない愛を溶かした、
淡い、野生の匂いに
ながく永く包まれている
それは、
大地が渇いた日も
漂い、
雪に閉ざされた日も、
嵐の日も、
暗い夜更けにも、
村が焼きつくされた朝にも
漂っていた、
――女神の匂い。
透けた君の肌が
ますます透明になって
いつか青い星空を映しはじめ
そこに入ると、
やわらかく
安心な匂いが、
やがて全宇宙を覆った
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