水先案内人-Canopus-/AKiHiCo
誰かが願いを架けた流れ星
零れ落ちる涙は頬を伝い
張り裂けそうな胸を必死に抱きしめて
あの人だけはあの人だけは
祈りを捧げるロザリオ
誰に向けるでもない悲しみは
キミに襲いかかる弾幕のようで
白い部屋で眠るあの人は
今も夢の中を彷徨う旅人の
早くカノープスを見つけて
キミの願いが宿る星を
誰も訪れなくなった部屋に
チューブで繋がれた微かな生命
瞼の裏の世界が知りたくて
キミの手を優しく握れば
思い出すあの日の出来事
蘇る笑顔はもう昔の幻影に
蒼褪めたキミの鼓動
誰か気付いてほしいと
ここに確かに命が在るという事
皆がキミを置き去りにしてゆく
季
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