その光景 ☆/atsuchan69
 

    鮮やかな 赤が滲んで
機械の馬は 嘶き、
儚い夢が 紙屑のようにつぶされてゆく 光景。

 朝の空気が、
死神を連れて すぐそこまでやって来ると、
 隠されていた深淵は
急に 親しみを伴って 見えだした。

 たった今、血の色を混ぜたばかりの 空の彼方
渇いた欲望が 夢のごとく過ぎ去り、
罪こそが いのちの証しだったことに気づく。

かつて嘲笑った筈の世界が ふたたび
眼の前に拡がっていた・・・・

永劫の闇にしずむ 粒子たち、それぞれが
果てしなく、淵をくだり
愛の記憶を いつまでも蘇らせ、
 かよわく 発光しつづける 光景。
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