ノート(霧)/
木立 悟
霧の間に差し入れられる
細く小さな指の雨
霧が一度震えるのを見る
傘ひとつ分だけ熱くなり
灯ひとつ分だけ冷えてゆく
線路から吹く風を歩む夜
あちこちにうずくまる雪の目に
白い雲が光るとき
さまよう菓子が置いてゆく
水の匂いが映るとき
離れていた手が合うように
朝は霧を抱きとめてゆく
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