街/沢村 俊輔
冬の風が
冷たく街を冷やしていく
人けのない夜の風俗街
ぽん引きたちは
厚いコートの襟を立て
北風から身を守りながら
ポケットに突っ込んだ手で
何をつかもうとしているのだろう
裏通りの裏社会
ポケットの裏で何を探している
落ちぶれた
今と自分
学生時代に
見ていた未来なんて
くそ食らえ
誰も
自分のことなど
見ていなかった
一度、二度と
人並みに普通の会社に
就職はしたけれど
地味な仕事に
上司の罵声
誰もが
こつこつと
まじめにやれば成功する
と口をそろえて言うけれど
こんな生活のどこに夢がある
一発逆転満塁ホームラン
そんなものが
彼らの希望
裏通りの裏社会
ポケットの裏で何を探している
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