暗い日曜日/六崎杏介
 
啜りクリスマスツリーで
首を吊る為に私にルビを振りたいが、字体が古びたルビーの胡桃の中にあり、丁重に辞退し
蝶々の群像架空する黒い虹のフレアがアンブレアに触れ雨の跡を焦がすと
ペストの鑑賞の為の黒肢欲は火薬として万象のドアをノックする幽霊がノアの前に立つ
二つの観察池での洪水と溺死フィルムは香水瓶の中、ヘイムダルの土になり
僅かも塵の無い天国のキッチンで先刻の惨劇を知る罪状でエデンからの追放を宣告された
慟哭の枯れた私は報告の為ラブレターを探していたが破れた広告紙が私の死体を慕い
インクにカブれた一帯の菩提にラブレターを隠してしまい、私は白紙の姉妹を呼ぶが
吐く血で彼女らを染め上げて、それはゲーテの見たバラの花束の様で、昨日枯れて
それで私は机上で枯れたバラのラブレターの束に燐寸で繰り返し火を付けていた
私には姉妹がいたが、市内の売春宿にはいなかった、単純に母親が産まなかったからだ
明日は隣町の売春宿に私の姉妹を探しに行く、部屋が赤く染まって蒸し暑い朝だ。

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