突発即興詩会ログ(25/06/2006)/遊羽
 
」 /しでん(し)

不味そうな缶詰を開けて
枯れ葉のような魚を食べる
僅かな時間で食べ終えて
空腹は満たされないまま
今日もキリキリと胃は痛む
(それは僕に対する苛立ちであり)
あぁ と溜め息を吐いて
(缶詰とはきっと関係ない)
眠れそうもないのに
僕は無理に眠ろうとしている

寝息は聞こえない
そうして
息遣いも聞こえなくなればいいのに



「反対」 /輝良

君が手を差し伸べていた

五月の空はあのころより少しだけ遠くて
眩しい光がそわそわと全身をくすぐる

せわしなくあたりと目配せをして
半分だけの僕はまた君のとなりで止まる

暑いねって目を細めた
風もないのに君の髪が揺れた

あのころは泣いてばかりいたのに
たぶんぼくら幼すぎたから

今また
遠い街で横断歩道の反対側のきみに
僕もまた
手を差し伸べようとしている


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