梅雨空に問う/松本 卓也
 
雲間から伸びる陽射しを浴び
汗が染み込んだTシャツが
少しだけ軽くなった気がするのは
単なる錯覚でしかなくて

切れ間に広がる果てへ行こうと
熱気を帯びた風を蹴っても
待っている笑顔など無いのは
とうに分かっているのだから

生き様を刻んで痛んだ内臓が
確かな軋んで悲鳴を上げている
そう きっとカウントダウンは
知らぬ間に半ばを越えている

最近また煙草の量が増えて
もうすぐ一本あたり一円ずつ
褒められもしない税金が増えた
止める気はさらさら無い

希望と言う言葉が似合わない願いを
煙に混ぜて梅雨空に放ってみると
今まさに失う行く意味のある時間が
「やってられねえ」と愚痴るのが聞こえた

嫌気が差してるのは僕だけじゃなく
時折自己主張する太陽だって
灰色に濁った空を鬱陶しげに眺めて
溜息を零しているのかもしれない

後押ししていると勘違いした風が
半端な間抜けを嘲笑いながら
意味の紡がない声を囁いている

一度忘れた言葉を探そうと
側溝に視線を落とす後悔の塊に
どんな言葉を告げているのだろうか

戻る   Point(0)