病室/あやさめ
 
眠くなるようなライトの下はすべて白にならなかった頃が
背もたれのない椅子で眠りながら思い浮かべるような1日

定期的に響くカーテンの音も気にしないように
いくつかのガラスとペットボトルを蹴飛ばすような動きで
今日もぎこちない紙芝居が始まっては
廊下まで人があふれかえっていかないので

多重音声のテレビステレオから流れるニュースの時間も
天井から吊り下げられている十字鉤から液体が落ちては
だれかの手足にかかって消えていく存在の中で
メトロノームの用を成さないのです


薄い布団の外側は密閉された空気
6つに仕切られた個というものは最初からなかったかのように
誰もが眠り
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