コルクみたく/
 
 あの人は決してそんなことはないと
 そう言うに決まっている
 悲しませないためや
 悲しまないためや
 あの心に鬱蒼と生い茂る
 憎たらしい善のせい

 わたしは思わず声を
 荒げる
 ことを妄想しながら
 へらへら笑う
 嘘を受け入れる
 へらへらと
 この心に申し訳なさそうに立ち尽くす
 自己愛護の大木のせい

 特になにも考えていないふりをしつつ
 お互いに本心を隠す
 自然に刃物で耳をそぎ落とす
 頭に突き立てたぺティナイフ
 それは一種の電波塔みたく
 くるくると何かを探る
 ぼくの本心では無かろうかと
 ひやひやしながら
 抱き合って眠る
 
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