赤かった/完食
 
酸化鉄の黒で
綺麗に染まっている部屋の片隅
赤黒い肉塊を抱いて
愛していると一人呟いた

僕の人差し指をそっと
温もりの失われた君の唇に触れて
君の人差し指をそっと
僕の唇にあててサイコラブを謳う

笑っていた君、動いていた心臓
笑えていた僕、輝いていたナイフ
赤かった血液、暖かかった生命

過去形ばかりのなかで
鳴り響くサイレンと愛しているの言葉だけが
現在進行形、ぽつり
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