神さま!仏さま!ぎょんでさま!/土田
 
せて五百円の寝巻きの上に
母校である中学校のまっきっきならぬおっおっおのオレンジのジャージを重ね着し
今は亡きじいさんの形見として持ってきた遺品の丈の短い長クツを履き
田舎から上京したての学生を勝手に演じてやるもりだった

染みついたシーツから漂うしずかな男女の寝息を背に七時のおれの腹時計
昨夜空けたのはミチコロンドン一箱だったけど
でも四時に起きたのは嘘じゃない
なぁ、ぎょんでさま
あんたが叶えてくれたのは
ぶっちゃけおれのアパートのまん前にある年中囲いが施されたアダルビデオの自販機だけさ
でもありがとよ
おれがなりたかったのは立派な役者じゃなくて
大根でもいいから詩人だったってこと
まだそのころは思ってもいなかったことをちゃんと察して
その道を踏み外さぬように仕向けてくれたんだから
なぁ、ぎょんでさま
今日おれは便秘で悩んでる彼女と下痢の話しをしながら
いっしょに一年賞味期限が切れたレトルトのインドカリーを
腹いっぱい食おうと思う
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