「傷モノローグ」/
木賊ゾク
リストカットをした事が無くても
あなたの心の手首というものは
蝋でも流したように
傷がついているのだろうな
よく見ると
蝋ではないのか
ただ
さめざめと流るる
涙はどこへ
いくのだろうな
泣かないで
傷つけないで
ひとりじゃない
そんな温かい心に触れるたびに
冷めていくのを怖れるのだろうな
誰声さえ聞こえてはこないのに
音は部屋に満ちていく
血だらけのナイフは絶望だけを映してる
窓から入る臭気は
今日も等しく
部屋を染める
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