女は菩薩へと/
奥津 強
寒寒しげに 女が 立っていた
六月の 小雨が 女に 施しを
六月の 案山子が 女に 恵みを
共に 嵐の 最中へと 誘いこむ
ともし火が でぃろでぃろと
騒ぎ出す頃
女は 何も言わない
ただ
寒々しく 白く 淡い 服を 着ては
立っているのである
やがて 男が 現れたとき
女は 煙を 吐き出す
唐突な 間を 受け
女は 骨と 化した
女は 菩薩へと 変わったのだ
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