青い翼/卯左飛四
 
の前には伝説の青い翼
夢にまで見たこの時 待ち焦がれた宝物

さあすぐに持ち帰ろう
愛しいきみの待つあの森へ
でもちょっとだけこの翼を試したい
誘惑に駆られてぼくは足が一歩も前に出ない

この手に掴んだ青い翼
ぼくの腕の中でいっそう輝きを増す
無意識のうちに翼をぼくは
そろそろと背中につけてしまった

とたん勢いよくはばたく翼
ぼくの身体は大空へと舞い上がる
みるみる小さくなる山並み
雲を突き抜け恍惚とした瞬間
いばらの棘が小指に食い込み
蔓に引っ張られて無残に墜落した

気が付くと森の中
あの日別れたあの場所で
きみはぼくを見下ろして微笑んでいた

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