書かれた−母/音阿弥花三郎
父と母の物ではない
母の物は
真昼に閉じた雨空
滑空する白色の鳥が堕ちる
その日から父と母は憎みあう者になる
母の影が覆いつくす町
母が湿地帯に詩を隠す「書かれた町」
母の影が覆いつくす町
その日から父と母は憎みあう者になる
滑空する白色の鳥が堕ちる
真昼に閉じた雨空
母の物は
父と母の物ではない
*
母と父の寝室は別だ。
子どもは母と眠った。
深夜父の寝室から声が聞こえた。
それはおそらく
父の忍び笑いだ
と子どもは考えている。
子どもは父のベッドの下だ。
好きなおやつはそこで食べるのが習慣になっていた。
ベッドが軟化した。
「上
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