良き思い出に告ぐ/きりえしふみ
 

千々と千切れた思い出も
一連の首飾りのように一つに連なる
例えばそこに火が灯れば
誰もがほうっと
懐かしさに癒される
例えば枯れ木ばかりが目立つ 淋しい森に
一房の林檎が実ったように
塞ぎ込んだ心にも ひだまりが感ぜられる

 いつもは眠っているように しんとして

それでも時々は 思い出よ
こうして返って来て下さいな
わたしの元へと どなたの元へも
まるで飛び立った故郷へと 日帰り旅行をするかのように

(c) shifumi_kirye 2006/06/23
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