旅像/あやさめ
 
問題は変数xの存在だ


並べすぎた車輪の上で5列の座席が全て埋まったままの
不来方を出た窓際でxの存在がほのめかされたのだが
そんなことはどうでもいいようにスキー場ばかりの風景を切って
自動的運転作業の塊と居眠り防止装置は南へ下り始める

それの見かけはただの紙袋に入った土産箱のようで
それを必死に抱きかかえる女性の真剣さがアンバランス気味に倒錯していて
隣に座った犬の放置のされ具合が少し気にくわないのだ

先生記念館前の駅でニュースが流される頃には
全ての乗客にそれぞれ1個ずつの変数が頭上に割り当てられてしまい
お互いが隣を気にしたまま動けないでいるうえ
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