雨時々十三歳/草野大悟
雨の降る日は
ゆっくり
うたたねするのが
いいね
そうだね
うたたねだね
あのね
うん・・・?
さっきね
あーちゃんが来たよ
ほう
来たよ
お花持って
来たよ
よかったね
うん
よかったね
そしてね
うん
そしてね
かおべーも来たよ
ひとりで来たの?
ううん
つぶっちと
ふたり
ほら
今、そこにいるよ
ほんと
いるね、そこに
おいでよ
こっちおいで
恥ずかしいんだ
来ないね
はずかしいんだね
そうだね
きっと
それからね
えっと
えっと
それからね
それから?
えっとね
ほら
ばあちゃんも
そこ
いるよ
いるいる
いるねえ
ところで
みっちゃん
いくつだっけ?
あのね
13才だよ
あっ
13才だったんだ
ううん
22才だよ
そうそう
22だ
うん
リハビリのない
雨の降る日曜日
ぼくらは
病室で
幻を見、幻と語る
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