使用済みゴム/ゼッケン
じゃあ、行ってきますからねと言って、アパートを出る
夕暮れ、川沿いの道。小学生たちの列とすれ違う。黄色い帽子なんてかぶっちゃってさあ
たしかここらへんだと思っていた場所に教会はなく、赤ん坊はけっこう重くて
ビニール袋のひもが指の関節に食い込んで痛い。左右持ち替えつつ歩き、陽は落ちて暗くなり、
おなかが減ったので住宅地の一軒の玄関前に買い物袋を下ろし、ピンポンダッシュして逃げる
底の薄いゴムぞうりがぺたぺた鳴って、われながらかっこわりいなあと苦笑いする
吉野家で並に卵とみそ汁をつけて注文する
熱すぎるみそ汁をわりばしでかき混ぜて冷ましながら、女はもう部屋にいねえんだろうなあと思う
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