諦め/AKiHiCo
 
夢の淵で見た幻影の
私は笑顔で大勢の人の輪の中に
ずっと憧れていた光景に今
自分がいるのだという幸福は
瞼を開ければ気付く
全て硝子で出来た世界での出来事なのだと
瞳が部屋を映し出せば
硝子は砕け散って涙が零れる

いつも誰かと仲良くなりたいと
必死で笑顔を作ってはしゃいでみるけれど
歯車がゆっくり軋み出して
気付けば私は独りで佇んでいる
遠くて少し前まで仲良くしていた人が

また今日も誰かを傷付け
自分も傷付いて
胸が締め付けられるように
ナイフで刺されるように
鋭く痛んで脈が速くなる
私は誰とも一緒にはいられない
触れようとすれば
お互いを酷く傷付けてしまう
私はこれから先も

もう傷付きたくはない
傷口を開くような真似はもういい
悪足掻きはせずにいよう
皆が私から離れてゆくのは辛すぎる
それなら最初から独りきりでいればいい

夢の中だけでいい
そこに私の望むものがあるのならば

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