カッコウ  オウム  キツネ ・・・・・/杉菜 晃
 
 

    カッコウ


  人里に来たカッコウは

  しきりに

  何かを告げようとしているが

  村はあいにく農繁期

  耳をかしてはいられない

  そこでさすがのカッコウも

  唄の途中で飛び去った

  揺れているのは電線と

  鳥の残した思いのみ





    オウム


  都会の片隅の喫茶店では

  店先にオウムを飼っていた
   
  客のある度に

  狭い篭の中から

  バカ バカと呼び掛けていた

  それでも

  けっこう客は入った

  お世辞を言わないという
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