大切な歌/松本 卓也
いつもこの歌を唄う時
零れ落ちそうな涙をこらえ
腹の底から喉を震わせている
普段どうしようもなく卑屈で
人に気を遣えないだとか
寒い事しか言わないだとか
馬鹿と呼ばれながら生きて
僕の弱さが生んだ誤解に晒され
それでも心を込めて唄う
例えばそれが部屋で一人
下手糞なギターを奏でながらでも
例えばそれが会社の飲み会で
カラオケボックスに居るときも
笑われて貶されても
指差され晒されても
視線を合わされる事も無く
無視されていたとしても
大切な歌を唄えば
ひび割れた心であっても
輝きを抱いていると
信じることができるのだから
大切な歌を唄おう
心を込めて唄おう
愛してくれる全てのために
愛すべき全てのために
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