死ぬまでにしたい10のこと/朽木 裕
 
ひとつあると信じている。それは、彼を幸せにすること、だ。つまり生きるということ。傍にいるということ。愛するということ。そしてそれが私の幸せ。大切な体温、優しい声、命を繋ぐてのひら…どれも決してなくせない、私の幸せの在りかだと思う。命には果てがあるから一時でも離れたくはない。眠りに落ちて起きたら彼がいるという生活は残念ながらまだだけれど気持ちはいつでも傍にいるし、繋がっている。そんな風にお互いを心から大切と思える相手に巡りあえた事を私はこの人生の中で決して無駄にはしない。

 死が目前に迫っていても、いなくても。死ぬまでにしたいことは生きていく上でしたいことなのだと思う。死について考えれば生が見えてくる。逆もまた然り。「死ぬまでにしたい10のこと」を読んだ後で自分なりにこれを書いて、見えてきたのはより明瞭な生のヴィジョンだった。いつ死ぬか分からないけれど、死ぬまで人は生きるのだから、私はこうやって生きていきたいと、心からそう思う。
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