死ぬまでにしたい10のこと/朽木 裕
故人だろうがそんなことは関係ないのだ。むしろ故人ゆえ恋心がどんどん暴走している節がある。芥川の著作「歯車」を読んだあの日から、私のもうひとつの人生が始まったといってもよい。死を感じる生活、詩を紡ぐ毎日。芥川と出会っていなかったら私は詩を書いていないかも知れず、また死について考えることもなかったのかもしれない。私にとって詩を書くことは生きることと同義。そう考えると私は芥川にあっていなければどんな人間になっていたのだろう。想像も出来ない。詩のない日々など。
芥川の小説はひとえに詩である。美しい詩。彼は小説化でありながら怖ろしくアフォリズムの上手い、魂の詩人だ。目指したい、などとおこがましいこと
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