隙間/恭二
 
あの日から、もう何日も食べていない。
今度、目をつむったら、二度と空を見ることは無いだろう。
今思えば、カゴの中の毎日は、何も不自由な事は無かったんだ。

あの日、カゴの扉が開いていなければ、
空を飛んでみようなんて、思い付いたりはしなかったのに。
あの日、あの隙間に気付いていなければ、
空を飛んでみたいだなんて、ただの憧れで終わっていたのに。

もう、遅いね。
わたしには食べ物の採り方がわからない。
与えられるのが、当たり前だったから。

でも、一つだけ空が教えてくれた。
自分が鳥だということを。


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